世界の約束

愛や夢や東京のことがずっと嫌いで真夜中のインターネットのことだけをずっと好きなまま大人になってしまったみなさんはこのところいかがお過ごしでしょうか、私はとても元気です

私がまだ若くて何にも知らない小娘だった頃に狂ったように好きだったミュージシャンの訃報を聞いて、十代の頃の私なら真剣に「あの人が死んでしまうなんて、どうしよう、私も後を追えばワンチャン握手くらいはしてもらえるのかな」なんて真剣に思ったでしょうに今は物凄く悲しくて落ち込んでしまうくらいで済んで、ああこれは愛が冷めたのではなくて夢から醒めたんだろうなと何となく思ったり、勤め先のお店が移転することになってみんなと離れたくないといい歳して半泣きになったかと思えば移転したらまた会えるとわかって大笑いしたり、来年から始める新しいことの準備にてんやわんやになって死にかけたりと、それはそれは慌ただしくて面白くて一年の色々が凝縮した年末を私は過ごしていました、来年はきっともっといい年になるでしょうね、だってそれが私だからね

最近好きな歌に「寂しい夜を半分、僕に預けて欲しい」という詞があって本当にそれだよなと私は頷いてるんですがわかりますか、何故って私に半分預けてくれたら寂しさの七倍くらいの楽しい夜に変えてあげられると思ってるからで、お前たちは明日が来ることに怯える必要はないよ、明日来るだろう腹筋の筋肉痛に怯えておきなとずっと思っているからです、ねえ信じてくれよ、絶対にその日だけでもしあわせにしてやるからさ

そんなことを言ってるうちにもう今年は終わりそうだけど、嫌なことも辛かったこともしんどかったことも思いがけないロマンスも忘れかけてた古傷も火の付いちゃった焼け木杭も薄っすら纏わり付いてた青春の残像もこの年に全部置いていこうね、もしも置いてきそびれて2024年にちょっとだけ持ってきちゃったら私のとこに持ってきて一緒に燃やそう、任せてくれお焚き上げはかなり得意だからよ

それじゃあみんな良いお年をね

来年もちゃんと迎えに行くから首洗って待ってろよ

わたしより